常食の選び方|特徴や普通食との違いを紹介
高齢者施設では、常食のほかにも多様な食形態を提供しています。常食とは、食材の種類やサイズに制限がない一般的な食事のことです。高齢者施設の経営者や介護スタッフのなかには、普通食や介護食といった食事との違いがわからないという人も少なくないでしょう。
この記事では、常食とほかの食形態との違いや調理する際の注意点など、常食の概要を詳しく解説します。常食や介護食を提供している外部サービスの選び方と、おすすめのサービスも紹介しているため合わせて参考にしてください。
常食とは?普通食や介護食との違い
常食とは、介護食に比べて特別な制限を持たない普通の食事のことです。一般的に、主食はご飯、主菜や副菜は調理された形状のまま提供される場合が多いです。高齢者施設によって制限のない食事のことを常食と呼んだり、普通食の名前で提供することがあります。そのため、常食と普通食に差はなく同じ食形態といえます。
常食はおもに噛む力や飲み込む力、消化吸収の機能が正常な高齢者に対応している食事です。対して、食事を食べるときに必要な上記で挙げた機能のうち一つでも機能が低下した人に提供される食事が介護食です。食べやすいように調理・加工を工夫して提供されます。常食を食べることができない原因の一例は病気や障害、加齢などです。
介護食では、食材をやわらかくなるまで煮たり食べやすいサイズにカットしたりします。介護食の食形態については後述する「常食以外の食事形態について」を参考にしてみてください。
常食の注意点
常食を提供する場合、噛む力や飲み込む力、消化吸収の機能に異常がない人であっても安全に食べられる食事を提供する必要があります。体調が悪い場合や食べ慣れていない食品を口にすることで、むせ込んだり喉に食べ物を詰まらせたりする恐れがあるため注意しましょう。
認知症を発症している高齢者の場合、食事以外のことに気を取られやすいため食事に集中できず、むせてしまう場合があります。このように噛む力や飲み込む力、消化吸収の機能が正常に働いている人でも慌てて食べたり食事に集中できなかったりすると誤嚥を引き起こす場合があります。「常食を食べる人だから誤嚥の心配はいらない」という思い込みは持たないようにしましょう。
常食以外の食事形態について
介護施設で提供する食事形態は、常食のほかにも様々な種類があります。経営者や介護スタッフの方は、以下に挙げる食事形態の特徴を把握したうえで適切な食事を用意することをおすすめします。
きざみ食
常食の主菜や副菜に用いられている食材を食べやすいサイズにカットした食事を「きざみ食」といいます。「きざみ食」は噛む力が弱まってきている高齢者に対応できる食形態です。
「きざみ食」には1~2㎝程度の1口で入る大きさにカットしたものや、5mm以下の粗みじん切りのように小さくしたものもあります。
噛む力や口を開ける大きさなどは人によって異なるため、一人ひとりの状態に合わせて調整することで、高齢者に安全かつ食べやすい介護食を提供できます。
やわらか食(ソフト食)
主食はやわらかく炊いたご飯やおかゆ、主菜や副菜は歯ぐき・舌でも力を入れずにすり潰せる硬さに調理された食事が「やわらか食」です。
「やわらか食」は噛む力が弱まっている高齢者に対応できる食形態で、使用する食材をやわらかくする工夫をします。
例えば、使用する食材を煮崩れするほどやわらかく煮込む、圧力鍋で加圧調理をする、お肉の繊維を切ってたたいて身をやわらかくするなどさまざまな方法で調理されます。
高齢者のなかには入れ歯が合わなかったり歯が抜けてしまっている人や、噛む力や飲み込む力が低下している人も少なくありません。「やわらか食」は、調理する際の工夫次第で高齢者の噛む力や飲み込む力にあったやわらかさを実現できるのが魅力です。
ムース食
常食をなめらかに加工し、ゲル化剤を用いて飲み込みやすいように固めた食事のことを「ムース食」といいます。「ムース食」は噛む力と飲み込む力の両方の機能が低下している高齢者でも安全に食べられる食形態です。
飲み込む力が弱まっている人に「きざみ食」を提供した場合、食べ物をうまく飲み込むことができず、誤嚥を引き起こしてしまいます。誤嚥とは、食べ物を飲み込んだ際に食道ではなく誤って気道に入ってしまうことです。食べ物が気管を抜けて肺に入ってしまうと、肺炎になるリスクが高まります。
その場合は、まとまりが良くなめらかな「ムース食」の提供や、状態によって、後述する「ミキサー食」や「流動食」で対応することもあります。
ミキサー食
常食をペースト状にした食事が「ミキサー食」です。噛む力や飲み込む力に加えて消化吸収の機能が低下している人に対応しています。「ミキサー食」は、常食に水分を足してミキサーにかけて液体のように加工します。そのまま飲み込むとむせやすくなるため、とろみ剤で適度なとろみをつけて提供するのが一般的です。
「ミキサー食」はすべての料理をペースト状にしているため、消化吸収に優れている特徴があります。消化吸収がしやすい食事は胃腸への負担を軽減できます。
ただし、1品ごとにミキサーにかけるため、食べる人はメニューの種類や使用している食材の風味がわかりにくいでしょう。「ミキサー食」を提供する場合は彩りを考えて盛り付けることが大切です。
流動食
具が入っていない水分のみの食事が「流動食」です。「ミキサー食」で対応できない高齢者や胃腸の機能が低下している人に対応しています。「流動食」の一例は具なしのスープやおかゆの上澄み部分の重湯、果汁、乳製品などが挙げられます。
「流動食」は具なしのため、噛む必要がありません。水分を補給するときのような手軽さが特徴です。ただし、「流動食」のみでは1日に必要な栄養素を摂るのは難しいです。「流動食」を提供する場合は栄養補助食品を食事にプラスして、高齢者の身体の健康維持に必要な栄養素を確保できるように工夫しましょう。
高齢者の「食べること」の重要性
食べることは「QOL(生活の質)」の維持・向上のために欠かせない要素です。介護施設で生活をする高齢者に美味しく食事をしてもらうためには、ひと手間加えた工夫を心掛けることが大切です。ここからは、高齢者における食の大切さについて詳しく解説します。
精神的な満足感を得られる
食事は、高齢者にとって身体の健康維持に必要な栄養を摂る手段というだけでなく、精神的な満足感を得ることができるものです。とくに介護施設に入居している高齢者は行動に制限があるため、頻繁に外出をする同世代の人に比べて運動量や消費するエネルギーは少ない傾向にあり、食事の時間になっても食欲がわかないという人も多く見られます。
また、室内に閉じこもってばかりの高齢者は日常生活で刺激を受ける機会もないため、食事の時間を生きがいに感じる人も少なくありません。しかしそこで、満足感を得られない食事を提供してしまうと高齢者の食欲減退につながる恐れがあります。見た目がよく、美味しく味わえる食事を提供することができれば、食事の時間は多くの高齢者にとって1日の楽しみになります。
栄養不足の防止になる
栄養のバランスが取れた食事を提供することで、栄養不足の防止につながります。高齢者は加齢に伴って食欲が低下しやすく、食事量が減少して1日に必要な栄養素を摂取できなくなる可能性があります。高齢になると噛む力や飲み込む力も弱くなり、思うように噛む、飲み込むことができなくて途中で食べるのをあきらめてしまう人も少なくありません。
場合によっては自力で食事ができなくなるケースもあります。食事ができたとしても食事量が低下すると必要な栄養を取れなくなり、栄養不足や低栄養の状態を引き起こしてしまいます。介護施設で生活する高齢者が栄養不足になるのを防止するために、栄養バランスには配慮しましょう。
低栄養の防止になる
栄養バランスに優れた食事は、高齢者が低栄養の状態になることを防止できます。低栄養とは、身体の健康維持に必要な栄養素が過度に不足している状態のことです。低栄養の状態になると胃腸の働きが弱まって消化吸収の機能が低下し、下痢や便秘、食欲不振など身体の不調を次々と招いてしまうことがあります。さらに、低栄養の状態が長引けば認知機能をつかさどる脳に栄養が行き渡らなくなり、認知機能低下のリスクを高める恐れがあります。介護施設で暮らす高齢者が低栄養になるのを防止するためには、栄養バランスに配慮した献立を作成することが大切です。
常食をはじめとした高齢者施設における介護食の問題点
高齢者施設で介護食を提供する場合に以下のような問題点が挙げられます。
- 高齢者は栄養不足になりやすい
- 常食を食べる人も塩分や食材の硬さに配慮する必要がある
- 小規模施設は栄養士の配置が難しい
加齢にともなって噛む力や飲み込む力、消化吸収の機能が低下すると若い頃に比べて食べられるものが減ったり、食事量が少なくなる人も少なくありません。食事内容に偏りが出てくると十分な栄養素を摂取できず、栄養不足に陥ってしまうため栄養バランスの良い食事を提供することが大切です。
高齢者は噛む力が弱まったり血圧が高くなる人が多いことから、常食を食べる人でも硬い食材や塩分を控えた食事にする必要があります。安全かつ美味しく、栄養バランスが調整された食事を提供するためには栄養士配置の検討が必要です。
しかし、小規模施設では経済的な負担を考えると、栄養士を配置するのは難しい問題でしょう。これらの問題点を解決するには、栄養士が監修する調理済み食材提供サービスの利用がおすすめです。調理済み食材提供サービスの食事は栄養価が高く、質の高いものを提供できるメリットがあります。
調理済み食材提供サービスの選び方
介護施設で常食を提供する場合、介護スタッフが手作りする方法のほかに、外部サービスを利用する方法もあります。外部サービスの例として、弁当の配食サービスや調理済み食材の導入などが挙げられます。ここでは、調理済み食材を導入する際のサービスの選び方を確認しておきましょう。
栄養バランスが整っているか
調理済み食材提供サービスを選ぶ際は、栄養バランスに配慮した食事を提供しているか確認することが大切です。1食あたりの献立の栄養価や塩分量などを確認することで、栄養バランスが整った食事であるか判断しやすくなります。
また献立に肉や魚、大豆製品、野菜などの食材をバランス良く使用しているか確認しておけば、毎日似たようなメニューを提供することで高齢者が食事に飽きるといった問題点をなくせます。
高齢者のなかにはアレルギーによって食べられない食材がある場合もめずらしくありません。アレルギー症状を引き起こす食材を使った食事を誤って提供した場合、命の危険を脅かす恐れがあるため、アレルギーに配慮した食事に対応しているかチェックしておくことをおすすめします。
見た目・味が良いか
食事の見た目や味にこだわりがあるサービスを選ぶと、高齢者の食欲増進や満足度の向上につなげることができます。彩りが良く、美しい盛り付けの食事を介護施設で提供すれば、高齢者の食欲低下を防止することが可能です。見た目だけでなく、味が美味しければ高齢者の食欲の向上も期待できます。
パンフレットやホームページを見れば食事の見た目を確認できますが、味は実際に食べてみないと美味しいかどうかを判断できません。調理済み食材提供サービスのなかには無料のサンプルを配布している会社もあるため、無料のサンプルを試食できるサービスに絞り込み、食事の見た目や味を確認してから最終的に利用するサービスを選ぶことをおすすめします。
継続できる価格帯か
調理済み食材提供サービスを定期利用すれば、栄養バランスや見た目、味が良い食事を高齢者に毎日提供でき、健康的な食生活はもちろん栄養管理もサポートできます。しかし、1食あたりの価格が高額であると、定期利用する場合経済的な負担が大きくなってしまいます。
例えば、A社とB社で1日あたりの価格の差が300円だった場合、300円×30日で1ヶ月9,000円の差が出てしまいます。提供する人数や利用頻度が増えるほど差額は大きくなるため、調理済み食材提供サービスを定期利用する場合はサービスごとの1食あたりの価格を調べたうえで継続的に使用していけるか検討しましょう。
ユニバーサルデザインフードに準じた献立も取り扱いがあるか
ユニバーサルデザインフードとは、日本介護食食品協議会が制定した規格で、食べやすさに配慮して調理されている食品のことです。ユニバーサルデザインフードには次の4つの区分があります。
- 容易にかめる
- 歯ぐきでつぶせる
- 舌でつぶせる
- かまなくてよい
常食のみ対応するサービスを利用した場合、介護食に切り替える必要がある人が出たときに別のサービスを利用しなければならなくなります。しかし、ユニバーサルデザインフードに準じた献立を取り扱っているサービスを利用すれば、高齢者の状態に合わせて常食や介護食に切り替えることが可能です。
保存期間は適切か
調理済み食材提供サービスが取り扱っている食事は、サービスごとに保存期間が異なります。保存期間が異なるのは、サービスによって保存方法が違うからです。主な保存方法は冷蔵や常温、冷凍の3種類です。
冷蔵や常温の場合は届いた日のうちに消費しなければらないものもあります。冷凍食品の保存期間はサービスによって異なりますが、数ヶ月の保存が可能なものもあります。
保存期間が短い食品を使用すると食品ロスにつながるため、できるだけ保存期間が長く保存がきく冷凍の調理済み食材提供サービスを選びましょう。冷凍保存できるおすすめの調理済み食材提供サービスについては次章を参考にしてください。
見た目そのままで美味しい!グローバルキッチンの「まごの手キッチン」について
調理済み食材提供サービスの利用を検討するなら、グローバルキッチンの「まごの手キッチン」がおすすめです。「まごの手キッチン」では、管理栄養士が作成した毎月の献立を提供しています。食事の見た目や味だけでなく、栄養バランスにも配慮しています。
1食あたりの価格は朝食が136円~、昼食・夕食は245円~と低価格です。コストパフォーマンスに優れているため、継続的な利用を検討している高齢者施設に向いています。
「まごの手キッチン」で取り扱っている食事の種類は常食の他、栄養価調整食、やわらか食、ムース食があります。。「まごの手キッチン」の食事は冷凍で2~6ヶ月程度の保存がきくため、食品ロスへの対策として効果的です。
介護食に悩んだら安心で美味しい調理済み食材提供サービスも検討してみよう
高齢者に安心して美味しく食事をしてもらうためには、常食を提供する場合でも高齢者の特徴に合わせて塩分を控えたり、硬い食材を工夫してやわらかく仕上げたりする必要があります。高齢者の食欲低下や低栄養になるのを防ぐには、食事の見た目や味、栄養バランスにも配慮しなければなりません。
常食や介護食専門の調理師や栄養士を配置すれば上記の問題点を解決できますが、経済的な負担が大きいため雇用するのは難しいというケースもあるでしょう。これらの問題点を解決する選択肢の一つとして、グローバルキッチンの「まごの手キッチン」の利用を検討することをおすすめします。
グローバルキッチンの「まごの手キッチン」では、高齢者施設で提供する食事や介護食を検討している方向けに無料サンプルを配布しています。サンプルの試食をご希望される介護施設職員の方や経営者の方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
無料試食サンプル申込:https://www.global-kitchen.jp/request/
資料請求:https://www.global-kitchen.jp/contact/7361-2/