介護食の問題点とは?高齢者の食生活改善のために出来る工夫をご紹介!
介護食にはいくつか問題点があると言われており、無視して介護食を提供すれば高齢者の食が進まなくなるため、低栄養の状態に陥る恐れがあります。
本記事では、介護食における問題点や解決策などを解説します。介護施設におすすめの介護食サービスの特徴や利用するメリットも紹介しているため、合わせて参考にしてください。記事を最後まで読めば介護食の課題はもちろん、高齢者の食生活を改善するためのコツを理解できます。
高齢者の介護食の問題点や課題とは?
介護食とは、噛む力や飲み込む力が低下した高齢者に提供するための食事です。介護食には、調理やメニュー作成に手間がかかったり工夫して作った食事を食べてもらえなかったり、さまざまな問題点が生じる場合があります。介護食の主な問題点や課題について解説します。
調理に手間がかかる
調理に手間や時間がかかることが、介護食の課題に挙げられます。介護食にはさまざまな食形態があり、高齢者一人ひとりの状態に合わせた食事を提供する必要があります。
介護食の代表的な食形態は、噛む力や飲み込む力が低下している高齢者でも食べやすく工夫されている「やわらか食(ソフト食)」や「ムース食」「ミキサー食」などです。これらの食形態は調理や加工する作業に時間がかかるため、普通の食事よりも手間がかかり、介護スタッフの負担が大きくなります。介護施設の経営者は、介護スタッフへの負担を軽減する対策を検討しておきましょう。
いつも決まったメニューになってしまう
献立作成や栄養の専門知識を持つ管理栄養士がいる介護施設なら、栄養バランスがととのったバリエーション豊富なメニューを作成することが可能です。
しかし、介護スタッフがメニュー作成をする場合は同じような食材を使用したり、決まったメニューを繰り返しやすい傾向があります。これにより、似たようなメニューが多くなると、高齢者が飽きてしまう可能性があるため、介護食のメニューのバリエーションを増やしていくことが大切です。
食事を食べてもらえない
高齢者のなかには若い頃はお肉を食べていたという方でも年齢を重ねるにつれて好みが変わり、食べられるものが制限されてしまうことも少なくありません。食欲が落ちて、しっかりとした食事量をとれない方もいます。
また、噛む力や飲み込む力が低下したことでムース食・ミキサー食などの食材の見た目が変わっている介護食を提供した場合、どのような料理を食べているのかがわからないため、高齢者の食欲減退につながります。高齢者の食欲が湧く工夫をすることも必要です。
低栄養のリスクがある
高齢者が介護食を食べられなくなった場合、低栄養になるリスクが高まります。噛む力が低下したり入れ歯が合わなかったりすると、食べられる食材に限りが出てしまうこともあります。
食事量が低下すれば、身体の健康維持に必要なたんぱく質やビタミン、ミネラルなどの栄養素が十分に摂れなくなり、低栄養状態を引き起こしやすくなります。とくに後期高齢者に介護食を提供する場合は、栄養不足にならないように注意しましょう。
低栄養の状態が長く続いた場合、寝たきりや要介護状態になりやすくなります。寝たきりや要介護状態を予防するためには、栄養バランスのよい食事が欠かせません。
介護食の問題点を解消するには?
介護食の問題点や課題を解決する方法として、次の4つが挙げられます。
- 調理の手間を減らす
- 調理方法を工夫する
- 食欲がわくような見た目に工夫する
- 低栄養を予防するための工夫をする
以下では、4つの解決方法を解説します。介護施設において解決したい問題点と照らし合わせながら、該当する解決方法を試してみてください。
【介護食の問題点を解決する方法①】調理の手間を減らす
調理に時間や手間を取られ、高齢者のケアや対応に十分な時間を割くことができないという介護施設も多いのではないでしょうか。介護スタッフによる調理の負担を軽減するためには、主に2つの方法があります。
- 調理の手間が少ない食材を使う
- 介護食サービスを利用する
具体的にどのようなことを工夫すれば調理の手間を減らせるのか、確認してみましょう。
調理の手間が少ない食材を使う
介護食の調理の手間を減らすなら、そのまま食べられるものや調理の工程を減らせる食材を利用することをおすすめします。合わせて介護食に不向きの食材も紹介します。まずは、向いている食材から見てみましょう。
- 魚:脂が多いマグロやカラスカレイ、ブリなど
- 肉:脂身のある薄切り肉やバラ肉など
- 卵:やわらかい炒り卵や茶碗蒸しなど
- 大豆加工品:絹ごし豆腐や納豆など
- 野菜・果物:じゃがいもやバナナなど
以下に挙げる食材は噛む力や飲み込む力が弱いと誤嚥を引き起こすリスクが高くなるため、使用する際は注意が必要です。
- 口の中でまとまりづらいもの:おからやひき肉など
- 弾力があるもの:こんにゃくやイカなど
- パサパサするもの:パンやビスケットなど
- のどに張り付きやすいもの:わかめや海苔など
介護食サービスを利用する
介護施設での調理負担を減らす方法として、栄養バランスのよいメニューが豊富な介護食サービスを利用するのもおすすめです。調理済み冷凍食材の介護食サービスを利用すると、冷凍保存できる調理済みの食事が届きます。冷凍状態のまま解凍するだけで介護食を提供できるため、調理の手間を減らすことが可能です。
介護食サービスの詳細は記事の後半で解説します。次に、調理をする際の工夫について確認してみましょう。
【介護食の問題点を解決する方法②】調理方法を工夫する
介護食を安全においしく食べてもらうための方法は、調理に工夫を凝らすことです。調理方法を工夫するための方法はいくつかありますが、ここではとくに大切な3つの方法を解説します。
- 噛みやすくする
- やわらかく飲み込みやすくする
- 好みの味付けをする
具体的にどのような工夫をすればよいのか確認してみましょう。
噛みやすくする
高齢者のなかには噛む力が弱まっている人もいるため、1口で入らないサイズの食材は食べやすい大きさにカットする必要があります。例えば、肉や魚を使用したメニューは1口で入る大きさにカットしておくと、噛む力が低下している高齢者でも噛みやすくなります。
野菜を使用するメニューは、歯ぐきだけですり潰せるやわらかさになるまで茹でておきましょう。生の野菜は繊維が硬く、噛む力が低下している高齢者が噛み切るのは大変です。
野菜の皮をむいてから切れ目を入れると、火が通りやすくなり短時間でやわらかく茹でられます。繊維の多い野菜をメニューに用いる場合は、繊維を断つように垂直にカットすると噛みやすくなります。
やわらかく飲み込みやすくする
噛む力が弱まっている高齢者にとって食べやすい介護食に工夫するなら、食材をやわらかく、飲み込みやすく調理することが大切です。食材を茹でる際は通常の茹で時間よりも長く煮ることで、やわらかい食感に仕上げられます。
食材のやわらかさの目安は歯ぐきで潰せる硬さで、食材を茹でる・煮る調理法を用いる場合は、煮崩れする程度のやわらかさまで加熱しましょう。
飲み込む力が低下している高齢者に介護食を提供する場合は、むせずに安全に食べられることも考えておかなければなりません。ぱさつきやすく口のなかでまとまりにくいものや汁気が多くむせやすいものには、とろみをつけたりムース状、ゼリー状に加工したりするのも一つの方法です。
好みの味付けをする
食欲がわかないと身体の健康に必要な栄養を食事から摂れないため、栄養不足に陥る恐れがあります。食欲がない高齢者には、第一に「食べたい」と思ってもらえる食事を提供することを最優先に考えます。会話をしながら、どのような味付けが好きなのか聞き出してメニューに反映させましょう。
ただし、高齢になると味覚の機能が低下して塩味を感じ取りにくくなるため、濃い味付けを好む高齢者が少なくありません。塩分の摂りすぎに注意し、薬味やだし汁を活用して塩分を控えても美味しく味わえるように工夫しましょう。
【介護食の問題点を解決する方法③】食欲がわくように見た目を工夫する
ムース状やペースト状に加工されている介護食は普通食に比べて、何を食べているのかわからず、高齢者の食欲を低下させる恐れがあります。高齢者に介護食を美味しく味わってもらうためには、食欲がわいてくるような見た目の工夫が必要です。食欲がわく介護食にするための工夫として主に次の2つが挙げられます。
- 食材ごとに分けて彩りよく盛り付ける
- 盛り付ける食器やテーブルコーディネートを工夫する
食材ごとに分けて彩りよく盛り付ける
見た目を工夫して食欲がわく介護食は作るなら、彩りに配慮して盛り付けることをおすすめします。普通食なら一目見るだけで一つひとつの食材の色がわかります。しかし、ムース状やペースト状に加工された介護食は料理ごとにミキサーにかけると、食材が混ざり合って素材本来の色を見て楽しむことができません。
ミキサーにかける際はできるだけ食材ごとに分けて加工し、型に入れて成形したり彩りが豊かになるように盛り付けたりしましょう。食材を1口サイズにカットする場合は、大きさや形を整えると見栄えがよくなります。
盛り付ける食器やテーブルコーディネートを工夫する
食器やテーブルコーディネートにも配慮すると、介護食をより美味しく見せることができます。同じ料理を食器に盛り付ける場合は、料理を引き立たせる食器を選びましょう。
例えば、おかゆや冷や奴などの白色の料理を黒い食器に盛り付けると食材の白がより映えます。人参のオレンジやピーマンの緑など、カラフルな料理は白い食器に盛り付けると食材本来の色味を引き立てられます。
季節の花や行事にちなんだ飾りを置いて雰囲気を出し、いつもの食卓に変化をつけるのも一つの方法です。
【介護食の問題点を解決する方法④】低栄養を予防する工夫
後期高齢者が低栄養の状態が続くと、寝たきりや要介護状態になるリスクが高まります。低栄養になるのを防ぐためには、以下に挙げる工夫を取り入れた介護食を提供することをおすすめします。
- 栄養バランスのよい献立を組む
- 美味しく食べられる工夫をする
- 栄養補助食品を用いる
- 栄養バランスが計算された献立を利用する
栄養バランスのよい献立を組む
高齢者の低栄養を予防するためには、栄養バランスのよいメニュー作りが重要なポイントになります。栄養バランスの取れた献立を作成するには、体内の機能を維持するためのたんぱく質やビタミン、ミネラルなどの栄養素が過不足のないように心掛けることが大切です。
食材は肉や魚、卵、大豆製品、野菜などを取り入れましょう。一部の食材に偏ると栄養バランスが崩れるため、主菜や副菜にさまざまな食品を取り入れることで栄養バランスのよい献立を作れます。
美味しく食べられる工夫をする
介護食は噛む力や飲み込む力が低下している高齢者のための食事ですが、美味しさを無視して機能性ばかり追求したものになると、美味しく食べてもらえません。介護食を美味しく食べてもらうためには、だし汁を使用したりスパイスや香りの高い食材を選んだりして献立に取り入れましょう。
高齢者は和食を好む傾向にありますが、和食ばかりの献立にすると似たような料理が続くため飽きてしまいます。和食だけでなく、洋食や中華などの多国籍の料理を入れると献立のバリエーションを増やせます。
栄養補助食品を用いる
食欲不振や偏食など食事量の低下によって、介護食のみで1日に必要な栄養素を摂取するのが難しい場合は栄養補助食品を利用する方法があります。栄養補助食品とは、不足がちな栄養素をバランスよく効率的に補える食品のことです。
栄養補助食品の種類はゼリータイプとドリンクタイプなどに分けられます。飲み込む力が低下している高齢者に栄養補助食品を提供するなら、とろみタイプやゼリータイプがおすすめです。
栄養バランスが計算された献立を利用する
低栄養を予防するうえで、栄養バランスのよい献立を作ることが重要です。専門家が作成した献立を利用すれば、高齢者が1日に必要な栄養素をバランスよく摂れる介護食を提供できます。介護施設に専門職がいない場合は、食と栄養の専門家である管理栄養士が監修している介護食サービスがおすすめです。管理栄養士監修の介護食サービスの詳細については次章で紹介します。
老人ホームなどの福祉施設におすすめ!管理栄養士監修の介護食サービス
老人ホームをはじめとする介護施設で栄養バランスのよい介護食を提供するなら、管理栄養士が監修している介護食サービスの利用がおすすめです。グローバルキッチンの「まごの手キッチン」では、介護施設を対象に冷凍保存ができる調理済みの食事を提供しています。
管理栄養士が作成した献立も合わせて提供しているため、毎月のメニュー作りにかけていた手間や時間を省けます。管理栄養士監修の介護食サービスを利用するメリットを確認しておきましょう。
調理にかかる手間や人件費を削減できる
介護食サービスを利用した場合、介護食の調理にかけていた手間や時間はもちろん、人件費の削減が可能です。介護食サービスから届けられる食事は、湯煎や電子レンジ、冷蔵庫内で解凍するだけでほかの調理作業はいりません。温めた食事を食器に盛り付ける簡単な作業だけで調理のプロの味を再現できます。
介護食を手作りする場合は食材のカットや下茹でなどの複数の工程を経て、調理や加工が必要なため人手が必要です。介護食サービスを利用すれば、調理にかかる手間や人件費、水道光熱費などのコストを削減できます。
リーズナブルな価格で美味しい食事を提供できる
介護食サービスを利用するメリットとして、リーズナブルな価格でプロが調理した美味しい食事を提供できることも挙げられます。グローバルキッチンの「まごの手キッチン」の場合、月間平均献立価格で朝食が136円~、昼食と夕食は245円~です。
リーズナブルな価格での食事を提供したい介護施設におすすめです。価格が安く抑えられている理由は、契約制ではないため食材以外の費用が発生しないからです。非常にコストパフォーマンスが高いうえに、美味しい食事を提供できる魅力があります。
豊富な種類の献立があり、飽きがこない
介護食サービスはバリエーションが豊かな献立が用意されているため、提供する介護食が似たメニューになるのを防ぐことができます。グローバルキッチンの「まごの手キッチン」には和洋中800種類以上の豊富な献立が用意されています。定期的に新商品の開発や商品化が行われているので、定期利用する場合でも献立が被る心配がありません。
毎月の献立は、食と栄養の専門家である管理栄養士が作成しています。専門家によって作成された献立を活用できるため、「いつも決まった献立になって高齢者を飽きさせてしまう」という介護食の悩みを解決でき、介護スタッフが毎月の献立作成に頭を悩ませることはなくなります。
栄養バランスが計算されている
管理栄養士が監修している介護食サービスを利用すれば、栄養バランスが取れている介護食を提供できるようになります。管理栄養士監修の介護食サービスでは栄養の専門家である管理栄養士が献立を作成しており、メニューごとの栄養価が計算されています。
栄養バランスが整っている介護食を介護施設で提供すれば、高齢者が低栄養になるリスクを減らすことも可能です。介護食サービスでは、食物アレルギーやエネルギー制限などに配慮する必要がある人にも柔軟に対応できる商品を取り扱っています。さまざまな人に対応できる介護食を提供するなら介護食サービスを活用しましょう。
介護食サービスを利用するなら専門家のサポートが付いたものを選ぼう
老人ホームをはじめとする介護施設で介護食を手作りする場合、調理の手間や似たメニューになるなどの問題点が生じます。効率的かつリーズナブルに介護食の問題点や課題を解決するなら、専門家が監修している介護食サービスの利用を検討してみてはいかがでしょうか。
グローバルキッチンの「まごの手キッチン」では、調理済みの「高齢者食」のほかにも、「やわらか食(ソフト食)」や「ムース食」を用意しているため、噛む力や飲み込む力が低下している高齢者が食べやすい介護食を提供できます。
定期利用だけでなく、スポット利用も可能です。高齢者施設で提供する食事や介護食を検討している方向けに無料の試食サンプルを提供しているので、介護施設職員の方や経営者の方はぜひ一度お試しください。
無料試食サンプル申込:https://www.global-kitchen.jp/request/